日本時間の2026年10月12日(月)、いよいよシアトル・シーホークスとサンフランシスコ49ersの試合が行われます!同地区対決で非常に注目のカードです。
今回注目したいのは、SEAのDefenseです。
皆さんは「Blitz」と聞くと、どのようなSituationを想像しますか?
3rd & Longなどの明らかなPass Situationで、LBやDBがQBに向かってラッシュする。そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
もちろん、それもBlitzの重要な役割です。
しかし、BlitzはPassを止めるためだけのものではありません。
2025年のSEA vs SFを分析すると、SEAはZone Coverageを基本としながら、Runが予想される場面で積極的にBlitzを使っていたことが見えてきました。
しかも、その判断にはDown & Distanceだけでなく、Offensive Personnelも関係していたのではないかと私は考えています。
今回は、SEAが「いつ、なぜBlitzを選択していたのか?」を、データとFilmから一緒に考えてみたいと思います。
本記事の分析対象について
本記事は、2025年シーズンのSEA vs SFの3試合(Week 1、Week 18、Playoff)について、私自身がFilmを確認し、集計・分析したデータを基にしています。
2025年の他チームとの試合や、2026年シーズンの試合統計は含まれていません。そのため、今回紹介する傾向は、あくまでも2025年のSF戦におけるSEA Defenseの特徴であり、SEAのシーズン全体に共通するものとは限りません。
1. SEAの基本戦略は2-High・Zone Defense
まずは、2025年Week 1のSEA Defenseの全体像を確認しましょう。
私が集計した75プレーの結果は以下のとおりです。

SEAはZone Coverageを約7割、2-High Shellを約65%使用していました。
2-Highとは、Safetyを2人深い位置に配置する形のことです。深いPassに備えやすい一方、Run DefenseではBox内の人数やRun Fitとのバランスを考える必要があります。ただし、Pre-snapのShellと実際のPost-snap Coverageは別の指標です。
また、SEAのBlitz率は22.7%。つまり、約8割のプレーではBlitzを使用していません。
この数字だけを見ると、SEAはCoverageに人数を残し、4人以下のRushを中心に守るDefenseだったと言えそうです。
ところが、Situation別に調べてみると、興味深い傾向が見えてきます。
2. SEAはどんなSituationでBlitzしていたのか?
Week 1のDown & Distance別のBlitz率を見てみましょう。

特に注目したいのは、2nd & Shortと3rd & Shortです。
2nd & Shortでは5プレー中3回、3rd & Shortでは6プレー中3回のBlitzを使用しています。一方、2nd & Longでは15プレー中Blitzは0回。3rd & Longでも6プレー中1回だけでした。
一般的にShort YardageではRunが選択肢に入りやすく、特に確実にFirst Downを獲得したい場面ではRunを警戒する必要があります。
1st & 10はプレイ数が多いのでBlitzの割合は低く見えますが、7回コールしていると考えるとそれなりのコール数となります。
もちろん、各Situationのプレー数は多くありません。しかし、このデータを見ると、一つの仮説が浮かびます。
SEAはPass Situationよりも、Runが予想されるSituationで積極的にBlitzを仕掛けていたのではないか?
では、SEAはDown & DistanceだけでBlitzを決めていたのでしょうか?
私は、もう一つ重要な判断材料があったと考えています。それがOffensive Personnelです。
3. Personnel × Situationで変わるBlitzの選択
Offensive Personnelとは、RBやTEなどの人数構成のことです。
例えば12 PersonnelはRBが1人、TEが2人。13 PersonnelはRBが1人、TEが3人という構成です。
TEが多くなるとRun Blockingに参加できる選手も増えるため、守備側はRunに対して警戒する必要があります。
ただし、Heavy Personnelだから必ずRunが来るわけでも、Blitzするわけでもありません。
ここが今回、最も注目してほしいポイントです。
以下はWeek 1のデータから、各SituationをPersonnel別に整理してBlitz率を計算したものです。

まず、1st & 10の12 Personnelでは20プレー中Blitzが5回。わずか25%です。
試合全体のBlitz率22.7%と大きな違いはありません。つまり、SEAはTEが2人いるからといって、無条件にBlitzを仕掛けていたわけではありません。
ところが、同じ12 Personnelでも2nd & Shortでは4プレー中2回、50%まで上昇しています。
さらに3rd & Shortでは、12 Personnelで1回中1回、13 Personnelで2回中2回、Blitzを使用していました。
12・13 Personnelを合わせると、2nd & Shortと3rd & Shortでは8プレー中6回、75%がBlitzです。
もちろん母数は8プレーしかなく、この数字だけで傾向を一般化することはできません。
しかし、1st & 10の12 Personnelでは25%だったことと比較すると、単純にHeavy PersonnelだからBlitzを選んだわけではないことがわかります。
私がFilmを確認した印象も含めると、SEAはPersonnelという情報にDown & Distanceを組み合わせ、Runの可能性が高いと判断した場面で積極的にRun Blitzを選択していたと考えています。
ここでいうRun Blitzは、QBにPressureをかけることだけを目的とするのではなく、特定のGapを先に攻撃し、Run Laneを制限することを狙ったものです。そして、実際の結果としてEPA(得点期待値)も減少しています。
実際のFilmを見てみましょう。
4. Film Study|1-High+5-Man BlitzでZone Runに対抗する
紹介するのは、2025年Week 1、3Q残り3分52秒、1st & 10のプレーです。
SF Offense: 12 Personnel / Zone Run
SEA Defense: 1-High / 5-Man Blitz
結果: 1yd Gain


このプレーでSEAは、試合全体では多用していた2-Highではなく、Pre-snapから1-HighのAlignmentを選択しています。さらに5人でラッシュしました。
SFはTEを2人配置した12 Personnel。Situationは1st & 10です。
先ほど紹介したとおり、1st & 10の12 Personnelに対するSEAのBlitz率は25%。つまり、このプレーは「Heavy Personnelだから必ずBlitz」という単純なルールでは説明できません。ただし、定期的にBlitzを仕掛けることでRun Stopに一定の効果があると考えています。
SFが選択したのは、私のFilm分類ではZone Runです。


Zone RunではOLが連携してブロックを形成し、RBは守備の動きを見ながら走路を判断します。守備側からすれば、OLに押し込まれたり、Combo Blockを成立させられたりすると、RBの走るLaneが生まれます。
それに対抗する選択肢の一つが、特定Gapを積極的に攻撃するRun Blitzです。私は、この5-Man BlitzもRunを止めることを重視したプレーコールだったと考えています。

このプレーはBrian RobinsonのRunをDeMarcus LawrenceとByron Murphy IIが止め、1yd Gainとなりました。
ここで私が面白いと感じるのは、Blitzによる結果そのものだけではありません。
2-High・Zoneを基本とするSEAが、相手のPersonnelとSituationを踏まえ、1-High+5-Man Blitzという異なる選択をしていたことです。
このように考えると、Blitzは単にQBへPressureをかける手段ではなく、相手のRun Gameに対するGame Planの一部として見ることができます。
5. Week 18・Playoffではどう変わったのか?
では、その後のSF戦でも、SEAは同じようにBlitzを使用していたのでしょうか?
2025年の3試合を比較してみます。
| 項目 | Week 1 | Week 18 | Playoff |
|---|---|---|---|
| スコア(SEA–SF) | 13–17 | 13–3 | 41–6 |
| Zone率 | 69.3% | 83.3% | 80.7% |
| 2-High率 | 65.3% | 85.7% | 86.0% |
| Blitz率 | 22.7% | 21.4% | 12.3% |
Week 18では、Week 1に比べてSF OffenseのPass割合が48.0%から69.0%へ増加していました。これに連動する形で、同時にSEAのZone率と2-High率も上昇しています。
なお、3rd & Shortと3rd & MiddleではBlitzを使用せず、Coverageに人数を残す選択が見られました。全体のBlitz率はWeek 1と大きく変わっていませんが、SFのPass傾向を踏まえ、よりCoverageを重視したGame Planだったのではないかと私は考えています。
PlayoffではBlitz率がさらに12.3%まで低下しました。特に3rd Downでは、距離にかかわらず11プレーすべてでBlitzなし。
この試合ではSEAが主導権を握っていたため、無理にPressureの人数を増やすより、4人以下のRushを基本としてCoverageへ人数を残し、守り切る戦略だったと私は見ています。
もちろん、得点差や試合展開がプレーコールにどの程度影響したのかは、統計だけで断定できません。
重要なのは同じSEA vs SFであっても、相手の攻撃傾向や試合状況によって守備の選択が変化していた可能性があることです。
6. 2026年SEA vs SFはここに注目!
今回の分析を踏まえ、2026年のSEA vs SFでは3つの点に注目してみてください。
① Down & DistanceからRunかPassかを予想する
まずは、次のプレーがRunになりやすいSituationなのか、それともPassになりやすいSituationなのか。特に2nd & Shortや3rd & Shortでは、SEAがBlitzを選択するかどうかに注目です。
② SFのOffensive Personnelを確認する
11 Personnelなのか、12・13 Personnelなのか。また、FBを使った21 Personnelなのか。Heavy Personnelであっても、Down & Distance次第でSEAの対応が変わるかもしれません。
③ SEAはどのようなBlitzを選択するのか?
Pre-snapのSafetyは2-Highなのか、それとも1-Highなのか。Blitzが入ったときはQBへのPressureを狙っているのか、それともRunを止めるために特定のGapを攻撃しているのか。
そんな視点で試合を観ると、プレーの見え方が少し変わってくると思います。
おわりに
Footballの面白さは、選手の素晴らしいExecutionだけではありません。
「なぜ、このSituationでそのプレーを選択したのか?」
そこには相手の傾向を分析し、準備を重ねたコーチたちの駆け引きがあります。
2026年のSEA vs SFでは、ぜひBlitzのタイミングに注目してみてください!
それではまた、次回をお楽しみに。



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