2026年Week 5、ニューヨーク・ジャイアンツとワシントン・コマンダーズの対戦は、27–27の引き分けとなりました。試合後の感想はこのXポストの通りです(笑)
コマンダースの試合の締め方が非常によろしくなかったので、メディアはこぞってこの話題を取り上げていますね。ジャイアンツも勝てる試合をファンブルで落としているので、ここはコメントし辛いところです。。
ただこの試合で気になったのが、ジャイアンツのディフェンスです。
QB Jayden Danielsに対して5サック。一方でDanielsには103ヤードを走られ、38ヤードと26ヤードのTDスクランブルを許しています。
QBへプレッシャーをかけられていたのに、なぜこれほど走られてしまったのでしょうか。
今回は、先日Xでも紹介した2本のTDスクランブルを、LB Tremaine Edmundsの役割を中心に見ていきます。プレッシャーをかけた守備と、その後ろでパスとQBの両方に対応する選手が、どのようにつながっていたかを考えます。
ジャイアンツDの積極的な姿勢
まず押さえたいのは、ジャイアンツが受け身の守備をしていたわけではない、ということです。
Blitzは、通常のラッシュに選手を加え、QBへプレッシャーをかける方法です。各試合での割合を整理すると次のようになります。
| Week | 対戦相手 | ジャイアンツのBlitz率 |
|---|---|---|
| Week 1 | DAL(カウボーイズ) | 16.7% |
| Week 2 | LAR(ラムズ) | 17% |
| Week 3 | TEN(タイタンズ) | 25% |
| Week 4 | ARI(カーディナルス) | 51.3% |
| Week 5 | WAS(コマンダーズ) | 62.2% |
開幕3試合合計のBlitz率は22.1%でしたが、Week 4以降は追加ラッシャーを送る頻度が大きく増えていたことが分かります。
Giants公式記事が紹介するNext Gen Statsの集計でも、今回のBlitz率は約62%。さらに、4QとOTに限ると74%まで上がっていました。
実際、#22 Dru Phillipsはこの試合で2サックを記録しています。Danielsが投げようとする時間を奪い、攻撃を止める場面は作れていました。
だからこそ、スクランブルを許した場面も一緒に見たいところです。QBへのパスラッシュとQBスクランブルを止めることは、つながってはいますが同じではありません。
38yd TD:クロスとQBをEdmunds一人で処理できるか
第3QのDanielsの38ヤードTDスクランブルです。
All-22を見返すと、私はジャイアンツが5人でラッシュし、Underneath Zone、つまり浅い中央のスペースを守る選手はEdmundsだけだったと観ています。
先日のX投稿でも、ここを取り上げました。
Edmundsには、横切ってくるWRのクロスルートへの対応と、Danielsの動きへの対応が求められていたと考えます。
WRへ寄ればそのパスを消す助けになります。しかし、その分だけQBへ対応する位置から離れてしまう可能性があります。逆にQBへ早く出れば、今度はクロスへのパスを通されるかもしれません。
ここを「QBを見ていなかったから走られた」とだけ説明するのは、少し違うと感じました。
QBを見ていても、パスを守るために取った位置からDanielsを止められるとは限らないからです。
中央に走路が開き、Danielsが前へ加速できる状態になれば、EdmundsはWRへの対応からQBへの対応へ切り替えなくてはいけません。その切り替えが正しかったとしても、間に合う距離だったのでしょうか。
私がこのプレーで考えたいのは、その点です。
26yd TD:マンカバーでも残ったフリープレイヤーの負担
第4Qには、Danielsが26ヤードのTDスクランブルを決めています。
こちらはマンツーマンのディフェンスでした。ただ、Edmundsは特定の相手を追うのではなく、フリープレイヤーとしてクロスするWRとQBの両方を見る役割だったのではないかと私は観ています。
Xの「NYG Dの反省点③」でも紹介しましたが、この場面ではEdmundsがクロスするWRに反応した間に、Danielsがスクランブルへ移ったと観ています。
WRへの反応そのものが間違いだったのか。それとも、パスを守るために必要な反応をしたことで、Danielsへの対応が難しくなったのか。ここを分けて考える必要があります。
マンツーマンは、まず自分の相手を守らなければなりません。QBが動いたからといって、すぐに相手を離してよいわけではありません。
一方で、特定の相手を持たないフリープレイヤーがQBのランに対応する意味は大きくなります。しかしその選手がクロスルートにも対応しているなら、負担はなくなっていません。
38ヤードのTDと、この26ヤードのTD。守備のコールやラッシュの動きまで同じだったとは言えませんが、EdmundsがパスとQBの両方を処理する難しさという点では、共通する問題があったと考えます。
もし、アサイメント上正しくパスを守った位置からでもQBに間に合わないなら、個人の判断だけで片づけることはできません。
Spyを置けば止められるとは限らない
では、QBだけを見るSpyを置けばよかったのでしょうか。
動画はありませんが、私は別のプレーで#52 Arvell ReeseがSpyとみられる役割で対応しても、Danielsにまくられた場面を確認しました。
ただ、一つの場面から「ReeseではDanielsを止められない」と結論づけるつもりはありません。
DanielsのようなQBに対しては、Spyだけに頼らずラッシュとセカンダリーが、走れる範囲を小さくしていくことが重要だと考えます。
スクランブル対策としてのパスラッシュ
Xでは、DLがStuntを入れて、QBの逃げ道を制限できていたら、と書きました。Stuntはラッシャー同士が経路を組み合わせる動きです。
この試合で考えたいのは、中央をそのまま加速して走られる状況を減らし、横へ動いたQBに別の守備者も関われる形を作れないか、ということです。
実際、DC Dennard Wilsonは試合前の会見で、前週の守備についてA・B Gapへ内側からPressureをかけ、QBが前へ上がるレーンをなくして、外のラッシュへつなげる考えを説明しています。
内側と外側のラッシュをつなげる狙い自体は、守備側にもあったわけです。
ただし、Stuntをコールすれば必ず走路を閉じられるわけではありません。Harbaughも、Rush Gameの実行に問題があったと説明しています。
動きの途中で中央が開いてしまえば、Danielsの出口を作ることになります。また、外へ動かしても、その先に止める選手がいなければ意味がありません。
誰が中央を閉じ、誰が外を守り、その後ろのEdmundsやSpyがどの範囲を処理するのか。Stuntの有無より、そのつながりを考えたいところです。
↓スタンツで中央からのスクランブルを防ぐイメージ
サックを取った守備は評価
ここまで走られた場面を見てきましたが、今回のジャイアンツのPressureを全て失敗だったとするのも違います。
4QとOTにはCover 0、深い位置にSafetyを残さないカバーを10 Dropbackで使い、その場面で3サックを記録しています。
走られる危険を抱えながらも、終盤に攻撃を止める場面を作ったのは、この積極的な守備でした。
実際、ジャイアンツのブリッツ時の守備データは非常に良い成績を誇っています。
次に映像を見るときはこの三つに注目!
今回のプレーを見返す際は、ぜひ次の三つに注目してみてください。
- QBはどこへ走れる状態になっているか
ラッシャーがQBへ近づいていても、別の場所に広い出口が残っていないか - フリープレイヤーは何を守るためにその位置にいるか。
QBだけでなく、WRやTEのルートに対応している可能性があります。QBへ反応した瞬間の位置にも注目 - 一人目が止められなかった場合、次の選手はどこにいるか
Stunts、Spy、フリーLBだけでなく、その先で走路を制限できる選手がいるか
おわりに
ジャイアンツはDanielsを5回サックしました。それでも、Danielsは103ヤードを走り、2本のTDスクランブルを決めています。
今回の2本のTDで考えたいのは、パスを守る位置からDanielsにも対応できたのか、ということです。Edmundsに求められた役割と、ラッシュが残した走路を合わせて見ると、個人の判断だけでは説明し切れない難しさが見えてきます。
私自身、LBをプレイしていた時にパスカバーとQBスクランブルの両方を見るのはすごく難しかったです。
かといって、QBスクランブルのために人員を割くと後ろのカバーが手薄になります。
そのため、QBスクランブルとはそれだけ止めるのが難しいプレイということです。
次にスクランブルを見るときは、QBを追う選手だけでなく、QBが走り始める前の守備の形にも注目してみてください。
それではまた次回をお楽しみに。



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