Fly Eagles Fly!
55-23の大差で制したイーグルス
2025年1月26日、フィラデルフィアのリンカーン・ファイナンシャル・フィールドで行われたNFCチャンピオンシップゲームは、イーグルスがコマンダースを55-23で圧倒しました。この試合、イーグルスは攻守ともに圧倒的な強さを見せつけ、スーパーボウルLIXへの切符を手に入れました。まるでイーグルス(鷲)が獲物を狙うように、コマンダース(司令官)の防御線を次々と突破していったのです。
チーム別スタッツの比較
イーグルスとコマンダースの戦力差は、スタッツにも如実に表れています。イーグルスは総獲得ヤード459に対し、コマンダースは350。特に顕著だったのはラッシングヤードで、イーグルスが229ヤードを獲得したのに対し、コマンダースはわずか99ヤードにとどまりました。まるでイーグルスのランナーたちが、コマンダースのディフェンスを翼で払いのけるかのような圧倒的な走りを見せたのです。
スタッツ | イーグルス | コマンダース |
---|---|---|
総獲得ヤード | 459 | 350 |
パスヤード | 230 | 251 |
ラッシュヤード | 229 | 99 |
ファーストダウン | 28 | 22 |
3rdダウン成功率 | 5/10 (50%) | 7/17 (43.8%) |
4thダウン成功率 | 1/1 (100%) | 4/5 (80%) |
タイムオブポゼッション | 30:31 | 29:29 |
ターンオーバー | 0 | 4 |
試合の流れと重要な転換点
試合は開始早々からイーグルスペースに。ランニングバックのSaquon Barkleyが1プレー目で60ヤードのタッチダウンランを決め、イーグルスが先制。その後もイーグルスが着実に得点を重ね、前半を27-15で折り返しました。後半に入ってもイーグルスの勢いは止まらず、特に第4クォーターでは21点を奪取。まるで鷲が獲物を捕らえる瞬間のように、イーグルスは勝利を確実なものとしたのです。
選手別スタッツ
イーグルス
選手名 | ポジション | スタッツ |
---|---|---|
Jalen Hurts | QB | 20/28, 246 YDS, 1 TD, 3 RUSH TD |
Saquon Barkley | RB | 15 CAR, 118 YDS, 3 TD |
A.J. Brown | WR | 6 REC, 96 YDS, 1 TD |
この表にはいませんが、#28のWill ShipleyのTDランを合わせると、ランだけで7TD!!
Barkleyは途中、3キャリー3TDというとんでもない数値をたたき出していました。さらに、クォーターバックのJalen Hurtsもスニークを含めますが3TDランと、ランオフェンスが光る試合となりました。
コマンダース
選手名 | ポジション | スタッツ |
---|---|---|
Jayden Daniels | QB | 29/48, 255 YDS, 1 TD, 1 INT, Run 48YDS, 1 RUSH TD |
Zach Ertz | TE | 11 REC, 104 YDS |
コマンダースのJayden Daniels はパスで255ヤード稼いだものの、ランで48ヤードのTDは2つとなりましたが、チームを勝利に導くことはできませんでした。
パスではタイトエンドのZach Ertzが11キャッチ 104ヤードとメインターゲットとなりました。
イーグルス圧勝の要因:効果的なオフェンスと強固なディフェンス
Jalen Hurtsの多彩な攻撃
イーグルスのJalen Hurtsは左膝にブレースを着用しながらも、素晴らしいパフォーマンスを見せました。246ヤードのパスと1タッチダウンパスに加え、3回のラッシングタッチダウンを記録。まるでチェスの名手のように、Hurtsはフィールド上で絶妙な駒の動かし方を見せたのです。彼の多彩な攻撃は、コマンダースのディフェンスを翻弄し続けました。
こちらはQBドローと呼ばれるプレイですが、一度パスの構えをしてラインバッカーの動きを止め、その間に#51のセンターの選手と、#26のBarkleyがJalen Hurtsのリードブロッカーとして前に出てブロックを行います。
レッドゾーンに入るとオフェンスとしてはフィールドの奥のスペースが使えなくなるため、攻めづくなると言われています。そのため、ランニングバックへハンドオフをする普通のランをするよりも、クォーターバックを走らせて、その分ランニングバックをブロッカーに使った方が、ランが成功する確率が上がります。
Saquon Barkleyのランニングゲーム
Saquon Barkleyは、この試合でも圧巻のパフォーマンスを披露。118ヤードを獲得し、3つのタッチダウンを記録しました。まるで豹のような俊敏さと、象のような力強さを兼ね備えたBarkleyの走りは、コマンダースのディフェンスラインを次々と突破。彼のランニングゲームは、イーグルスの攻撃の要となりました。
コマンダース敗戦の原因:ターンオーバーとディフェンスの崩壊
4回のターンオーバーが致命的
コマンダースの敗因の最大の要因は、4回のターンオーバーでした。まるで宝物を敵に渡してしまうように、コマンダースは貴重な攻撃機会を次々とイーグルスに与えてしまいました。これらのミスは、イーグルスに絶好の得点チャンスをもたらし、試合の流れを決定づけることとなりました。
このファンブルフォースのプレイは特に最高でした。タックリングの基本は一人目がタックルして掴んでいる間に、二人目以降の選手がボールを狙うというものです。オフェンスは一人目の選手に気を取られている間にボールへの集中力が低くなるので、その間にボールをパンチするという#53 Zack Burnの最高のディフェンスでした。
イーグルスのディフェンス戦略:Fangioのスキームが功を奏す
4人パスラッシュと7人カバレッジの基本フォーメーション
イーグルスのディフェンシブコーディネーター、Vic Fangioは、4人のパスラッシャーと7人のパスカバレッジを基本とするフォーメーションを採用しました。まるでチェス盤上の駒を巧みに配置するように、Fangioはこのフォーメーションを駆使してコマンダースの攻撃を封じ込めました。この戦略により、イーグルスは効果的にパスラッシュをかけながら、同時に広範囲をカバーすることができました。
イーグルスDL陣の脅威
正直、ディフェンスとしては、複雑なブリッツやそれに伴う複雑なパスカバーを考えるよりも、DL4人でパスラッシュがかかるのであれば、これほど楽なことはありません。そんな中、この試合においてコマンダースのオフェンスラインは特にインサイドDLの#98 Jalen Carterを警戒するあまり、他のDL陣への守りが薄くなっていた印象です。
例えばこのプレイ、Jordan Davisの怪獣のようなパスラッシュに目を奪われますが、その隣でJalen Carterに2人のオフェンスラインがパスプロテクションをしています。
5人のオフェンスラインに対して、4人のディフェンスラインがラッシュしてきた場合、オフェンスラインとしては1人余るため、誰かに2人プロテクションを割くことが出来ます。
この際、純粋にオフェンスラインが下がってパスプロテクションする場合において、大きく分けると2パターンに分類できます。
①NG(ノーズガード)に対して2人をプロテクションさせる
②3Tech(3テクニック)に対して2人をプロテクションさせる
今回の試合に関しては、コマンダースは常にJalen Carterに対して2人をプロテクションさせていたため、他の選手が1対1になり、のびのびとパスラッシュを仕掛けることが出来ました。
ツーハイセーフティのゾーンカバレッジの多用
Fangioは、ツーハイセーフティのゾーンカバレッジを多用しました。これは、2人のセーフティを深く配置し、広い範囲をカバーする戦術です。
セイフティーが2人いると、オフェンスとしては奥が攻めづらくなりますし、ディフェンスとしても後ろにセイフティーがいるからこそ、コーナーバックが前でプレイするカバー2ができるなど、パスカバーに深みを持たせることができます。
まるで空中から全体を見渡す鷲のように、イーグルスのディフェンダーたちはフィールド全体を監視し、コマンダースの攻撃を読み切りました。この戦術により、大きなプレーを許すリスクを最小限に抑えることができました。
状況に応じた柔軟なスキーム変更
Fangioは、試合状況に応じて柔軟にスキームを変更しました。先ほどはセイフティーを2人置くツーハイセーフティを説明しましたが、ある時は1人に対して1人がカバーするマンツーマンディフェンスを使用するなど、まるでカメレオンのように、イーグルスのディフェンスは常に最適な形に姿を変え、コマンダースの攻撃に対応しました。この適応力の高さが、イーグルスのディフェンスの強さの源となり、コマンダースの攻撃を終始抑え込むことに成功したのです。
スーパーボウルLIXへの展望:イーグルスの強さと課題
バランスの取れたオフェンスの威力
イーグルスは、パスとランのバランスの取れたオフェンスで、スーパーボウルでも強さを発揮すると予想されます。Hurtsの多彩な攻撃とBarkleyの爆発的なランニングゲームの組み合わせは、相手ディフェンスを混乱させる強力な武器となるでしょう。さらに、A.J BrownやDevonta Smithといったワイドレシーバーへのパスオフェンスも強力で、イーグルスのオフェンスはあらゆる状況に対応できる多様性を持っています。
ターンオーバーを生み出すディフェンスの重要性
イーグルスのディフェンスは、ターンオーバーを生み出す能力が高く、これがスーパーボウルでも重要な鍵となるでしょう。イーグルスのディフェンダーたちは相手のミスを見逃さずボールを確実に奪い、貴重な攻撃機会を生み出す能力に長けています。ターンオーバーを量産することができれば、スーパーボウルでの勝利につながる可能性が高いです。
対戦相手に応じた戦略の調整
スーパーボウルLIXでは、AFCチャンピオンのカンザスシティ・チーフスと対戦することが決まり、2年前の再戦となりました。イーグルスは2週間の準備期間で綿密な戦略を立てることができます。まるで将棋の名人のように、イーグルスのコーチングスタッフはチーフスの弱点を突く戦略を練り上げるでしょう。特に、パトリック・マホームズ率いるチーフスのダイナミックなオフェンスに対して、どのような対策を講じるかが注目されます。
おわりに
イーグルスは、NFCチャンピオンシップゲームに向けて11人の選手が怪我のリストに載っていました。
結果的には勝利しましたが、怪我人の状況がスーパーボウルまでにどのように変化するかも、イーグルスの勝利の鍵を握る重要な要素となるでしょう。
イーグルスは、この圧倒的な勝利を糧に、スーパーボウルLIXでの優勝を目指します。チームの総合力と適応力が、NFLの頂点に立つための大きな武器となることでしょう。
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