【アメフト 社会人】ライスボウル2023 パナソニックインパルス vs 富士通フロンティアーズ

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今回は、東京ドームで行われた、第76回アメリカンフットボール日本選手権決勝戦ライスボウルの模様をお伝えいたします。

パナソニックインパルスと富士通フロンティアーズの対戦となったこの試合は、29-21で富士通の勝利。富士通は2年連続、7回目の優勝となりました


この試合の様子は、Youtubeとポッドキャストでも解説しております。

【アメフト・戦術解説】ライスボウル2023 パナソニックインパルス vs 富士通フロンティアーズ

試合のハイライトは以下から視聴できます。

【第76回ライスボウル】パナソニック vs 富士通 ハイライト 20230103


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試合の見どころ

1Q
先制したのはパナソニックでした。富士通はCover3を基本としたディフェンスで、パナソニックの得意のランをしっかりと止めようという構えでした。Cover3がなぜランに強いかは、Youtubeで戦術解説をしていますのでぜひご覧ください。

【アメフト・戦術解説】パスカバーの『Cover3 』とは?

しかし、予想に反してパナソニックはパスで攻める展開でした。パスプロテクションが持つと、QBジェイロン・ヘンダーソン選手はしっかりとパスを通していました。3rdロングの状況では、富士通はパスラッシュの人数を減らして後ろのカバーを厚くする戦術。しかし、ここも投げられないと判断したヘンダーソン選手のスクランブルが速く、1stダウンを獲得します。そして相手ゴール寸前からRBミッチェル・ビクタージャモー選手のタッチダウンランとトライフォーポーイント(PAT)で7点を奪います。


富士通はQB高木選手のパスで前進。しかし、敵陣に入った際のパスはWRとのコミュニケーションが合わずに失敗。おそらく、WRがディフェンスの付き方を見てパスルートを変えるオプションルートだと思いますが、QBとWRで判断が違うと、思った通りの場所にWRが走らずに失敗となっていました。そんな中、富士通は4th down 3の状況でギャンブル。RBがいないEmptyと呼ばれる体形から、WR松井選手へのパスで1st downを獲得します。


2Q
富士通の攻撃は、パナソニックディフェンスのプレッシャーもあり、4th downに移ります。ここで、44ヤードのフィールドゴールを試みますが、ここは失敗。一方のパナソニックの攻撃では、再びビクタージャモー選手が躍動しました。自陣27ヤードからのMidline Optionと呼ばれるランプレイで、守備の間を抜けて73ヤードの独走タッチダウンで14-0と先制します

一方、富士通も反撃します。RBトラショーン・ニクソン選手のランなどで進み、30ヤードのフィールドゴールで3点を返し、14-3とします。パナソニックの攻撃ですが、パスは届いているのですがWRの落球もあり前進できずパントとなる状況が続きます。

一方、富士通は再びRBトラショーン・ニクソン選手のランで前進し、3rd1の状況でニクソン選手が密集地帯を抜けてタッチダウン!キックも決まり7点を追加し、14-10と迫ります。その後、富士通が攻めましたが、前半最後の攻撃はパナソニックDL大野選手のQBサックで前半が終了となります。


3Q
パナソニックの攻撃は、QBジェイロン・ヘンダーソン選手スクランブル等で進み、敵陣に入ると、WR渡辺ジャマール選手へのパスが通りタッチダウン!21-10と突き放します。これでパナソニックの流れになるかと思いましたが、王者の富士通も粘ります。

パナソニックに点を取られた直後のシリーズに、敵陣47ヤードからWR木村選手のリバースプレーで38ヤードを走ります。その後もランでゴリ押ししてRBニクソン選手がタッチダウン。一方のパナソニックですが、パス中心のオフェンスがかみ合わず攻守交替となります。対する富士通は、WR松井選手へのパスも決まり、最後はQB高木選手からWR小梶選手へのタッチダウンパスが成功。2点コンバージョンを狙いますが失敗し、22-21と逆転します

4Q
パナソニックはビクタージャモー選手のキックオフリターンで大きく陣地を挽回(この試合で、唯一この時だけリターナーに入っていました)。パナソニックは攻め込んでゴール近くまで迫りましたが、タッチダウンパスを狙ったヘンダーソン選手のパスを、富士通DB高岡選手がインターセプト!逆転の機会を逃します。

続く攻撃の機会も、富士通DB高岡選手のブリッツによるQBサックを受け、なかなか攻撃が繋がりません。すると、今度は富士通が流れをつかみ、ニクソン選手がブラストと呼ばれるFBをリードブロッカーに使ったプレイで、タックルを振り払いながら力強い走りを連発し、この日3つ目のタッチダウン!キックも決まって29-21とリードを広げます

8点を追うパナソニックは自陣からヘンダーソンのランとパスで前進。敵陣まで進みましたが、最後はエンドゾーンに投じたパスは、富士通DB高岡選手が本日2回目のインターセプト!

29-21で富士通が2年連続の勝利となりました。


表彰
大会最優秀選手(MVP)は、富士通RBのトラショーン・ニクソン選手。本日3回のタッチダウンで、終始力強い走りを見せていました。


他には、富士通の山本監督の他、主将の趙選手、本日2回のインターセプトと1回のQBサックと大活躍のDB高岡選手がインタビューを受けていました


【戦術解説】パナソニックインパルス

パナソニックインパルスの気になったプレイをご紹介します。

➀Midline Option

第2Qにビクター・ジャモー選手が73ヤードの独走タッチダウンを決めたプレイです。Midline Optionと呼ばれるプレイで、ディフェンスタックル(DT)の選手をわざとブロックせずに、QBはDTの動きを見てRBにボールを渡すか、QBがボールを持って走るかを決めるというオプションプレイとなっています。

この時は、富士通のDTがQBを見ていたため、ハンドオフの展開となり、あとはビクター・ジャモー選手が一切スピードを緩めない速さで一気に駆け抜けタッチダウンとなりました。Midline OptionはOLがDTをブロックしないため、LBに直接ブロックに行くことができるのがこのプレイの魅力です。

一方で、DL同士がクロスするようなスタンツをされると通すのが難しくなります


実際のプレイはこちらから

【第76回ライスボウル】パナソニック vs 富士通 ハイライト 20230103


【戦術解説】富士通フロンティアーズ

②Play Action Pass

第3Qに富士通の松井選手へ決めた、Play Action(ランのフェイクをしたパスプレイ)です。富士通は右にWRが2人、左にWR1人とTEが1人という体形から、左にいるRBへランのフェイクをします。オフェンスから見て左側のWRがポスト、TEがフラットのパターン。ランのフェイクでLBを動かしてQBの視界を開き、そこにWRの松井選手のポストパターンが決まります。

パナソニックのディフェンスはCover 3を引いていたのですが、上がってきたSFの選手がTEのフラットパターンに反応してしまったため、松井選手のポストが決まりました。


実際のプレイはこちらから

【第76回ライスボウル】パナソニック vs 富士通 ハイライト 20230103


③5Men Blitz

第4Qに富士通のDB高口選手がQBジェイロン・ヘンダーソン選手をサックに仕留めたプレイです。3rd11の状況で、富士通は5人のラッシュを仕掛けるのですが、富士通はオフェンスから見て右側のLBがブリッツの構えを見せます。これにRBが気を取られている隙に、スナップした直後にパスの構えをしていた高口選手が左側から猛烈なスピードでパスラッシュし、サックとなりました。

プレイとしてはシンプルなブリッツですが、高いレベルで選手が駆け引きをしているからこそ、ビッグプレイに繋がりました。

※残念ながら映像はありませんでした・・・


おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、ライスボウルの様子と両チームの気になったプレイを戦術解説いたしました。

学生の試合に比べるとシンプルなプレイが中心で、選手のフィジカルが目立った試合という印象でした。だからこそ、今回は選手が遂行する駆け引きを取り上げました

今後社会人の試合を観戦する際は、そのあたりもぜひご注目ください。


それではまた次回をお楽しみに。

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