【アメフト 大学】毎日甲子園ボウル2022 関西学院大学 vs 早稲田大学

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今回は、阪神甲子園球場にて行われた、全日本大学アメリカンフットボール選手権決勝第77回毎日甲子園ボウルの模様をお伝えいたします。

関西学院大学と早稲田大学の対戦となったこの試合は、34-17で関西学院大が勝利。5年連続33回目となる、大学生日本一の座を掴みました。

この試合は、Youtubeとポッドキャストでも配信しております。

【アメフト・戦術解説】毎日甲子園ボウル2022 関西学院大学対早稲田大学





試合のハイライトは以下から確認できます。

【甲子園ボウルハイライト】関西学院大学-早稲田大学


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試合の見どころ

1Q
・両校ともにディフェンスが粘り強さをみせ、一進一退を繰り返す展開でした
・早稲田大学が第1Q終盤に敵陣に攻め込みます

2Q
・早稲田大学はRB#7 萩原選手の25ydランでゴール前2ydへ前進
・ここで先制するかと思われましたが、関西学院大 DB#33 山村選手にエンドゾーン内でインターセプトされ、チャンスを逃してしまいます
・関西学院大は第2QにK#6 福井選手のFG 2本で6点を獲得
早稲田大もK#36 曽木選手がFGを1本決めて6-3でゲームを折り返します


3Q
関西学院大学はQBを#15 鎌田選手に変更。得意の強肩を生かしたパスとランを織り混ぜ、オフェンスのリズムが出てきました。
RB#34 伊丹選手と#7 前島選手のランでそれぞれTDを獲得。20-3と突き放します。

4Q
・早稲田大学はQB#2 石原選手からWR#8 佐久間選手への45ydパスで一気に前進
・この攻撃をRB#25 花宮選手のランでTD。20-10と迫ります。
・このまま点差を縮めたいところでしたが、再び関西学院大RB#7 前島選手にランでボールを持ち込まれTD。27-10とさらに突き放されます。
・早稲田大学も再びRB#25 花宮選手のランでTDを決めて27-17とします
・関西学院大学はRB#7 前島選手のランで、本日3度目のダメ押しTD
・34-17で関西学院大が勝利となりました。


試合の感想

関西学院大学 オフェンス

関学のQBは1年生の星野選手。立命館大学戦でも堂々としたプレイぶりでした
・しかし、今年の関学は甲子園ボウルでいつもなら決めるようなスペシャルプレイも、どこかタイミングが合っていない雰囲気がありました。
・この雰囲気を変えたのは、後半から出場した鎌田選手で、力強いスローイングで次々にパスを決めていきました
・大村監督は「調子を上げていたのでリズムを変えるために行かせた」ということ
・後半の関学はいつも通りの力強いランプレイで4TDを記録していました
・TDの原動力となったのは#7 前島選手。139ヤード3TDの活躍で、大会MVPにも選出されました


関西学院大学 ディフェンス

相変わらずの力強いディフェンスでした
・LB陣は中心だった海﨑選手が関西大学戦で負傷しシーズンアウトとなってしまいましたが、4年生LBの浦野選手が見事に代わりを務めました。改めて関学の層の厚さを感じました
・中でも目立ったのは3年生DLのトゥロターショーン礼選手。立命館大学戦でも激しいプレッシャーを見せていましたが、この試合でも大活躍で年間最優秀選手賞であるチャック・ミルズ杯を受賞しました


早稲田大学 オフェンス

3年生QBの國元選手と、4年生WRの佐久間選手のホットラインを活かしたパス攻撃と、力強いOL陣のブロックを活かした、RB花宮選手、安村選手、萩原選手といった3年生RBトリオのラン攻撃が魅力的でした
4年生QBの石原選手がワンポイント起用されるなど、早稲田大学の攻撃は豊富な人材がいるのが強み
WRの佐久間選手を警戒して常にダブルカバーをしていた関学に対して、前半はなかなかかみ合わないところがありました
・しかし、試合途中からは相手の裏を突く戦術と、得意としているランプレイでしっかりとゲインしておりました

早稲田大学 ディフェンス

・早稲田大学高等学院のヘッドコーチを兼任されている、吉田コーチが守備コーディネーターです
・スターティングメンバーを見ると、なんとLBが0人という布陣!?
・特に、DLは思い切りのよいユニットに仕上がっていると感じました。中でも196センチ120キロの規格外のサイズを持つ4年生DL山田選手は、試合でもサック・パスブロックなどビッグプレーを連発
・山田選手はこの試合の敢闘選手に選ばれました

写真は甲子園ボウルのものと違いますが・・・


【戦術解説】関西学院大学のショベルパス

ここからは関西学院大学vs早稲田大学の試合から気になったプレイをご紹介します。

まずは、関西学院大学の伝家の宝刀と呼ばれるショベルパスです。ショベルパスというのは、QBがパスの構えをしてDLをひきつけ、そのDLと入れ違う形で前方にいる選手にひょいとパスをするプレイです。この完成度の高さは言うまでもなく、ショベルパスが忘れたころに出てくるので、そのタイミングの上手さにアメフト関係者が感心しまくるというものです。

そんなショベルパスですが、この甲子園ボウルではショベルパスに関連したプレイを5プレイ行っておりました。


➀Split Zone Fake Shovel

一人の選手がOLと逆方向にブロックに行くランプレイをSplit Zone と言いますが、WRの選手をモーションでOLがいるボックスに近づけてから、Splii Zoneの動きをします。

そのフェイクをしたRBがQBに振り返ってのショベルパス。ここは早稲田守備の集まりが早く、あまりゲインはありませんでした。

②Zone Fake Shovel Fake Pass

今度はOLがブロックをする流れに従って、RBがハンドオフを受けるフリをします。そして、そのRBにショベルパスの動きをしますが、狙いとしてはショベルパスをフェイクにしたWRへのパス。

ショベルパスの動きをすることでDLの動きが止まるので、その間にパスを投げていました。しかし、結果はパス失敗となりました。

③Draw Fake Shovel

パスの構えをして、RBにハンドオフをするプレイをDrawと言いますが、これはそのDrawのフェイクをしたRBにショベルパスを行うというもの。

しかしここも早稲田守備の集まりが早く、あまりゲインはありませんでした。

④Swing Screen Fake Shovel

RBを二人置いたショットガン体型から、一人のRBを外側にモーションさせます。

そのRBにSwingと呼ばれるパスコースを走らせて、その選手にパスを決めてゲインを狙うのを、Swing Screenと呼びますが、このプレイはそのフェイク。本命はもう一人のRBへのショベルパスでした。

これは5ヤードのゲインとなりました


⑤TE Shovel

Emptyと呼ばれるRBがいないパス体形から、TEの選手がOLの近くでパスブロックの構えをします。そしてこのTEの選手にショベルパス。RBがいなくてもできてしまうのが関学のショベルパスです。

ここはTEの小林選手が相手を交わしながら前進して15ヤードのゲインとなりました。

関学のショベルパスの凄いところ

ここまで、5プレイのショベルパスを紹介しましたが、何が凄いかというと全て違う体型から違う見せ方をしている点です。

ショベルパス自体が、DLとの入れ違いを狙ったスクリーンというプレイの要素をもっているのですが、そこにもう一ひねりしてショベルパスを展開する。さらにそのタイミングも絶妙というのが関学の持ち味です。

結果的に一番ロングゲインとなったのは5番目に紹介したTE Shovelで、それ以外は比較的速やかに止めていたので、早稲田ディフェンスもかなり警戒していたんじゃないでしょうか。

ただ、このショベルパスを要所で入れることで、早稲田守備としてもパスのプレッシャーをかけにくくなるので、このショベルパスがボディブローのように効いてくるというものがあります。

以上が、関学のショベルパスの紹介でした。

【戦術解説】早稲田大学のストーリーオフェンス

一方の早稲田大学のオフェンスですが、非常にストーリー性がありました。詳しくご説明します。


QB Power

まずご紹介するのは、QBに4年生の石原選手を入れて自らボールをキープする、QB Powerと呼ばれるプレイです。これを、要所で2プレイ行います。




そして、勝負所では今度は石原選手が走るフリをしてWRの佐久間選手へロングパス。関学はマンツーマンだったのでランのフェイクに引っかかりませんでしたが、結果的にフリーとなった佐久間選手にパスが決まりロングゲインとなりました。


Motion Play

第2Qのプレイです。

右にいるWRの選手が左へモーションして、そのままQBを抜けていきます。そして左にいるCBをブロックして左にいるWRにパスを投げるサイドスクリーンという動きをするのですが、これと全く関係なく、RB#7 萩原選手へアウトサイドゾーンのハンドオフ。これで25yd前進し、ゴール前2ヤードに迫りました。


続いても第2Q、先ほどと全く同じ体型で、右にいるWRの選手が左へモーション。そして左側はサイドスクリーンの動きという、ここまでは先ほどと全く同じ動き

しかし、このサイドスクリーンのブロックにいったモーションWRがCBをブロックせずにそのまま前方へ加速。そのWRにパスを決めるというスクリーンフェイクのパスでした。


最後も第2Q、今度は体型は少し違いますが、右にいるWRの選手が左へモーション
サイドスクリーンの動きはなく二人のWRがクロスする形で奥に走り、内側の選手にパスを決めました。


いずれのプレイも、右にいるWRを左にモーションさせるという点では同じ。ただ最終的なプレイは異なるという、常に相手の裏をかきにいくようなプレイです。これを、全て同じQで行うというのが、早稲田大学オフェンスのストーリー性を感じたゲームプランでした。


おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は、関西学院大学と早稲田大学の試合の様子と、
両チームの気になったプレイをご紹介しました。

関西学院大学の5年連続33回目の優勝で閉幕となった甲子園ボウルですが、観戦者数が例年に比べて少なかったようですね。。。

来年はどのチームが栄冠を掴むのか。そして、関西学院大学の連覇を止めるチームは現れるのか。来年の学生アメフトからも目が離せません。

それではまた次回をお楽しみに。

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