続いてはAlabamaのオフェンスプレイを紹介します。
第3Q残り2:32
自陣36y 2-10
Counter Fake Pass (RPO・PPO)
RPOは以前にもご紹介している通り、Run Pass Optionの略です。
四角で囲まれたLBがRunに向かえばPassを選択し、Passに向かえばRunを選択します。
RPOはオフェンスがディフェンスの動きを見てから後出しする戦術なので、オフェンスが判断を誤らなければ図面上は非常に有利なプレイと言えます。
しかし、これはあくまでもディフェンスがZoneディフェンスを引いてきた時に限ります。マンツーマンディフェンスだと効果を発揮しません。
RPOはRunもPassも見ないといけないディフェンス選手を狙いますが、ディフェンスがマンツーマンだとRunを見る選手・Passを見る選手と担当が分かれているため、オフェンスがどちらを選択しても図面上有利な状態にならないのです。
そのため、RPO対策の1つの手段としてマンツーマンディフェンスが用いられます。
実際に、LSUのディフェンスは下図のようなマンツーマンを引いてきました。
RPOをマンツーマンで防がれてしまったAlabamaですが、Alabamaのプレイはさらにマンツーマン対策としてPPO(Pass Pass Option)も組み合わせていました。
Pass Pass Optionとは、QBが二通りのパスパターンを見て確率が高い方に投げるというプレイです。
右のWRをモーションさせた時にDBが反応してついていく事をQBが確認します。これで、ディフェンスがマンツーマンであることが予想されるため、RPOが成立しないことが分かります。
そして次にQBがとる判断は、マンツーマンに対して有効なパスパターンをチョイスします。すなわち、右のWRに対するインパターンのパスルートです。
マンツーマンの弱点として、WRが中に素早く入っていくようなインパターンがあります。そしてこのパスルートは、LBがランプレイに反応するためパスを補給するスペースが広がったところを狙っています。
結果的にこのプレイはLSUのディフェンスがパスインターフェアの反則をしたことで、Alabamaはファーストダウンを獲得しています(審判も邪魔してますが)。
このように、RPO対策としてマンツーマンを採用するチームに対しては、PPOを組み合わせたオフェンスが有効と言えます。
一方で、ディフェンスとしてできることは、
・プレイ前にマンツーマンと思われないようなディスガイズを行う
・マンツーマンが上手な選手をエースWRにマッチアップさせる
ということが対策として考えれられます。
数で勝負するオフェンス(RPO)に対しては、ディフェンスも数を合わせるディフェンス(マンツーマン)をとります。そうなった時に求められるのが「個」の能力です。
戦術は相手に勝つための一つの手段ですが、個の能力(今回の例で言うとマンツーマン)を高めることはオフェンスもディフェンスも忘れてはいけないことだと思います。
以上を踏まえて、動画をご覧ください。
それでは、また次回をお楽しみに。
コメント
カウンタープレイで3テクをキックアウトしているんですね!
珍しいですね!
そうですね!Bearフロントに対するアジャストだと思います。