今回は、カレッジフットボール プレーオフ チャンピオンシップ ジョージア大学 vs テキサスクリスチャン大学(TCU)の一戦をご紹介します。
カリフォルニア州のSoFiスタジアムで、7万2千人が集められたこの試合。ロサンゼルスのセレブ達も集まっていました。ウォルトディズニーの偉いさんも映っていました。
試合は皆さんご存じかと思いますが、1位ジョージアが3位TCUを65-7と圧倒。58点差はカレッジフットボールのFBSのボウルゲームでは史上最多得点差ということです。そして、ジョージア大学は2011・12年シーズンのアラバマ大学以来となる2連覇を達成しました。
今回は、試合の振り返りと、両チームのプレイを戦術解説していきます。
この試合の解説はYoutubeでも動画と音声で配信しております。
試合のハイライトは以下から確認できます。
試合の流れ
ジョージアはTCUの最初のオフェンスシリーズを3アンドアウトでパントに追い込むと、ジョージア大学のQBステッソン・ベネットのQBキーププレイで21ヤードタッチダウンラン。
TCUのオフェンスはファンブルでターンオーバーとなり、ジョージア大のオフェンスはフィールドゴールの3点に抑えます。TCUはQBマックス・ドゥガンのロングパスで攻めこみ、自らボールをキープしてタッチダウンを返し7-10としますが、これが最後の反撃でした・・・。
ここからジョージア大は、4シリーズ連続でTDを重ね、前半終了時に38-7とこの時点で勝負あり。後半に入っても差は開く一方で、最終スコアは65-7となりジョージア大学の優勝となりました。
スタッツ
チームスタッツも圧倒的でした。
○総獲得ヤード
ジョージア:589ヤード
TCU:188ヤード
○総攻撃時間
ジョージア:36分59秒
TCU:23分51秒
○ファーストダウン更新
ジョージア:32
TCU:9
ディフェンスも3ターンオーバー・5サック・9ロスタックルでTCUオフェンスを完封し、あらゆる面でジョージアが上回りました。
○個人成績
ジョージア大学のQBステッソン・ベネットは、25回中18回のパス成功で、304ヤード獲得。タッチダウンは4回でQBレイティングは99.5。 ランでも2タッチダウンの活躍で、試合のMVP(最優秀選手)に選ばれました。
一方、TCUのQBマックス・ドゥガンは22回中14回のパス成功。152ヤード獲得。インターセプト2回のレイティングは49.2で、残念ながら得意のランも生かせませんでした。
戦術解説
ジョージア大学の狙い
TCUのディフェンスは3-3-5と呼ばれる、3DL-3LB-5DBのディフェンスが特徴です。
3-3-5ディフェンスはLBとDBで複雑なパスカバーやブリッツが使用できるため、相手QBを混乱させることができます。また、ランディフェンスもLBやDBの反応が良ければ集まりで止まるというメリットがあるのですが、DLの人数が少なくなるため、ライン戦で負けてしまうと一定数ランが出てしまうというデメリットがあります。特に、外側から内側に押し込むようなダウンブロックを絡めたランプレイに弱いです。
ジョージア大学は、TCUの3人のDLがOLの内側にセットするという特徴を狙い、執拗にDLの外側のエリアを狙ったランオフェンスを展開しました。
Counter
ジョージア大学のキープレイとなったカウンタープレイです。
今回の例でいうと右側に当たる、進行方向にいるOLが内側にブロックするダウンブロックを行い、左側にいるOGとスロットTEがリードブロッカーとなるプレイです。OLがしっかりとDLを押し込み、OGとTEがリードブロッカーとなることで、RBが走るホールを広げていました。
Bootleg
先ほどご紹介したCounterのフェイクパスです。
RBにハンドオフをするフリをして、QBがRBの進行方向と反対側に回り込むパスをBootlegと言いますが、ジョージア大学のBootlegは一度TEの選手がリードブロッカーになるフリをすることで、一瞬カウンターの動きに見えます。
これにより、LBとDBはRBに反応してしまい、結果的にWRへのパスへの反応が遅くなってしまいます。また、このように試合のキープレイとなるオフェンスプレイのブロックと似た動きを行うことで、今度はCounterへの反応も遅くすることができるため、フェイクパスを行う時はブロックの仕方も似せた形の方が、よりディフェンス選手を騙すことができます。
Zone Read
TCUのDTをわざとブロックせずに、そのDTがQBに反応すればRBへハンドオフし、RBへハンドオフをすればQBがキープするというZone Readというオプションプレイです。本来、Zone Readの対象となるのはディフェンスの最も外側にいる選手のため、外側にいる選手は自身でオプションがかけられているということを自覚しています。
しかし、ジョージアは外側にいるLBの選手をOTがブロックし、DTの選手でオプションを行いました。DTの選手は自分がオプションにかけられているということを自覚する前に、気が付けばQBが持って走っているという状態になってしまいました。
また、このオフェンスも、DLの外側のエリアを狙ったランプレイでした。
QB Sweep
ジョージアがゴール前でタッチダウンを取ったプレイです。
まずは、モーションでTEの選手を動かすことで、相手のディフェンスがマンツーマンかゾーンかを確認します。相手ディフェンスはTEのモーションについてきたので、この時点でマンツーマンの可能性が高まります。
そして、スナップと同時に外側にいるWRとTEが内側にいるディフェンス選手をダウンブロック。内側にいたOLとRBが外側に広がっていき、QBのリードブロッカーをするというQB Sweepというプレイでした。
相手はマンツーマンのため、それぞれ外側の選手が内側にダウンブロックする動きにつられ、結果的にQBSweepへの反応が遅れてタッチダウンとなりました。このプレイも、DLの外側を狙ったランプレイでした。
Jet Motion Zone Read
TCUのオフェンスもご紹介します。
唯一この試合でTCUがタッチダウンを取ったプレイです。ゴール前なので、ジョージアはマンツーマンディフェンスを引いていました。そこに、TCUのWRがモーションで右から左へ移動します。
そこに、RBをフェイクにしたQBが左側へ走っていったため、ディフェンスが手薄なところを突いてタッチダウンとなりました。本来は、ジョージアのディフェンスはモーションをした時点で全体的にモーションサイドにずれて、QBにはLBの選手がタックルしなければいけませんでした
おわりに
いかがでしたでしょうか。
カレッジフットボール プレーオフ チャンピオンシップジョージア大学 vsTCUの一戦をご紹介しました。
ジョージア大学は全勝でシーズンを終えて、文字通り圧倒的な強さを見せましたね。2023年シーズンは、どのチームがジョージア大学の連覇を止めるのでしょうか。
それではまた次回をお楽しみに。
コメント