さて、今回はCollege Footballの試合からテネシー大学vs ジョージア大学の試合からプレイを解説していきます。
ジョージア州のサンフォード・スタジアムで、満員の92,746人が雨の中大熱狂したこの試合。3位ジョージアが1位テネシーを27-13と圧倒。SECイーストランキングで単独首位に躍り出ました。
この試合の解説はポッドキャストでも配信しております。
試合のハイライトは以下から確認できます。
試合の流れ
先制したのはテネシー。ジョージアがファンブルしたボールを奪い、3点のFGを追加します。
対するジョージアは2回目のドライブでQBのステットソン・ベネットの13ヤードのタッチダウンランを決め、7-3となりました。さらに、ジョージアは相手陣地1ヤードに落とす劇的パントもあり、テネシーの攻撃をパントに抑えて絶好のフィールドポジションをとります。ベネットはすぐにラッド・マコンキーに37ヤードのタッチダウンを投げて14-3としました。
第2Q 次のシリーズも、ベネットはマーカス・ローズミー・ジャックセイントに5ヤードのパスを決めて、21-3とリードを広げます。テネシーもFGで応戦しますが、前半終了間際にジョージアがFGを決めて24-6で前半を折り返します。
後半もジョージアがFGで3点を追加して27-6。テネシーは4QにTDで27-13と返しますが、時すでに遅し。ジョージアの勝利となりました。
スタッツ
Week8では16年ぶりに王者アラバマ大学を倒したテネシーでしたが、
ラン94ヤード、パス195ヤードとこの日は振るわず。
この日、テネシーのクォーター・バックのヘンドン・フッカーは、
パス33回中23回成功の195ヤード 0TD 1INTという成績に終わりました。
一方、ジョージアはラン130ヤード、パス257ヤードで、QBステットソン・ベネットは、
パス25回中17回成功の257ヤード 2TD 0INTという好成績。
前年の優勝QBである彼ですが、52 ヤードのTDパスや、パイロンにダイブするTDスクランブルランを含む、3つのタッチダウンを奪う大活躍となりました。
ジョージアディフェンスがゲームを支配
ジョージアのディフェンスは、リーグ最強の攻撃力を誇るテネシーを13点に抑え、
前年チャンピオンの実力を見せつけました。
3rdコンバージョンは14回中たったの2回成功に抑えています。特にフロント陣のプレッシャーが凄まじく、テネシーのQBのヘンドンフッカーを6回サック・8回のQBヒットに成功しました。テネシーは前半のTDなし。第4QにTDした頃には実質的に試合は終了していました。
もちろん、ホームフィールドアドバンテージによる地の利もありました。テネシーはジョージアファンのクラウドノイズにより、複数回のフォルススタートを含む、9回の反則で55ヤードを罰退しています。
それでは、ジョージアはどのようにしてテネシーを抑えたのでしょうか?
テネシーオフェンスの狙い
テネシーオフェンスの特徴は、ショットガン2by2体型でWRをサイドラインの近くに配置した、フィールドを横に広く使った超ワイドスプレッドオフェンスです。このメリットは3つあります。
➀ディフェンスの位置を把握しやすい
1つ目は、ディフェンスがどこに人員を配置しているかを把握しやすいという点です。
スナップする前にディフェンスを見て、WRに対するDBの人数が少なければサイドスクリーンを投げたり、タックルボックスの人数が少なければランをコールすることで、常に人数勝ちすることができます。
スナップの前後でディフェンスがどう動くかを見ながら、オフェンスはランとパスを選択するラン・パス・オプション(RPO)をうまく使うことができます。
②ディフェンスのプレッシャーを予測できる
2つ目は、ディフェンスのプレッシャーを予測できるという点です。通常ディフェンスはプレッシャーサインが入っている時は、ブリッツに入ることを悟られないために、WRをマークするフリをしてブリッツをしたりする、ディスガイズをします。
しかし、WRをワイドスプレッドに付かせることで、ディフェンスはディスガイズが難しくなり、結果的にブリッツがばれやすくなります。このようにして、ブリッツが来ないことを予測した状態でロングパスを決めるというのが今年のテネシーオフェンスの強みでした。
③マンツーマン対策
3つ目は、マンツーマン対策です。WR同士が重なるスタックと呼ばれる体型を行うことで、マンツーマンに強いクロスパターンを行いやすくなります。RPOを使うチームに対して有効なディフェンスとして、マンツーマンがあります。
人数をイーブンにすることで、人数負けしている箇所を作らないという点で、マンツーマンはRPO対策となるのですが、そのマンツーマンに対して強いスタック体形から、マンツーマンに強いパスを決めていました。
ジョージアディフェンスの狙い
テネシーオフェンスに対してジョージアがとった手段は、マンツーマンを主体したディフェンスと、マンツーマンプレッシャーとゾーンプレッシャーの併用です。これにより、テネシーオフェンスの3つのメリットを1つずつ打ち消していたように思えます。
「メリット1」への対策
まずは、マンツーマンサインを引くことで、RPOに対する人数バランスを取ります。
前半に関しては、タックルボックスの人数を減らして、若干パスに人数を割いていたような印象でした。また、マンツーマンサインでQBを見る選手も担保しています。
ただし、浅いゾーンを走らないクロスパターンに関しては決まってましたし、止めていてもジョージアの反則となっているシーンがありました。それでも、マンツーマン能力の高さでゲインを最小限に抑え、インターセプトに仕留めるようなシーンも飛び出しました。
「メリット2」への対策
次に、ブリッツのスタート位置を下げていました。通常はスクリメージライン近くからスタートしようとするため、ブリッツする選手はタックルボックスに近づいてきます。ジョージアのディフェンス選手はこれを我慢して、スクリメージラインから離れてブリッツしていました。
当然、QBに到達するまでの時間は遅くなりますが、OLからすると気づきにくく結果的にフリーでQBに到達するというシーンがありました。あと、単純にジョージアの選手は速いので、少しくらい離れていてもプレッシャーになっていました(笑)
「メリット3」への対策
最後に、ゾーンブリッツとの併用です。マンツーマンに対してはWRが内側を走るパターンが有効ですが、ブリッツした選手と入れ替わるようにDLが下がるゾーンブリッツを混ぜることで、浅いゾーンへのパスは投げにくくなっていました。また、下がったDLの選手がQBスパイの役割を兼ねていました。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回はCollege Footballの試合からテネシー大学vs ジョージア大学の試合からプレイを解説していきました。結果的には周到に準備をしたジョージア大学が勝利しましたが、今回のジョージア大学との一戦を経て、ジョシュ・ハイプル監督がどのように巻き直してくるのか、今後のカレッジフットボールもますます目が離せませんね。
それではまた次回をお楽しみに。
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